ズワイガニといえば、古来より皇室への献上実績などにより一般的に越前ガニ(福井県)が有名です。
山陰地方では松葉ガニと呼び、冬の味覚の王者として全国的に人気を博しております。 また近年は水揚げされた港の名前を付して●●ガニと宣伝され幻の間人ガニなどと称されていたりします。
そこで、浜坂のズワイガニの漁獲量、カニの質、操業状況などを専門資料やカニ獲り名人の体験談を基に検証したところ浜坂こそカニ元と称するにふさわしい立場にあることを確信しました。
よってこのたび カニ元浜坂 を宣言し、安定した良質のカニを提供できる町としてPRし、合併による新町活性化の促進を図ることを目的といたします。
平成17年11月6日 浜坂町観光協会
カニ元浜坂について 後述の実績から、浜坂は松葉ガニ漁の最も盛んで、消費者市場に対して、安定した供給が出来る量を誇り、また質の点では活きのいい活カニをはじめとする鮮度抜群の本場です。
これからは「新温泉町」の目玉として自信を持って カニ元 を広報宣伝し、漁協を始め各関係団体と連携を一層密にしつつ、地域の活性化を図っていく所存です。
それでは カニ元浜坂 を宣言するに至ったデータをご覧下さい。
ズワイガニの漁獲量について ●1道7府県における漁獲実績 年度・道府県別ズワイガニ漁獲量推移(単位=トン) 社団法人 全国底曳網漁業連合会資料より
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H9年
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H10年
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H11年
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H12年
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H13年
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H14年
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H15年
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H16年
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兵庫
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788
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1,031
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1,219
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1,090
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1,105
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1,354
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1,555
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1,674
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鳥取
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693
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954
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1,091
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951
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986
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1,120
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1,251
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1,587
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石川
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417
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352
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319
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269
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239
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441
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474
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413
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北海道
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425
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617
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1,111
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843
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871
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626
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803
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394
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福井
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429
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415
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465
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470
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629
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631
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558
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329
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島根
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-
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-
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-
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-
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-
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225
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194
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252
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京都
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138
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128
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195
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168
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169
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133
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138
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84
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富山
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-
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-
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-
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-
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-
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32
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28
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7
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H9年には、兵庫・鳥取が500トン以上、石川・北海道・福井が400トン強の水揚げで、占有率は比較的拮抗していましたが、H10年以後は石川県が減少、福井が横ばいの至減少、兵庫・鳥取は増加傾向となり、今では兵庫県が総漁獲量の35%強を占め、これに鳥取県が続き、H16年は両県で7割弱を占めるに至っています。かっての越前ガニ(福井)は量の点で威勢不足、間人ガニ(京都)はもともと量的に少なく名実共に幻であったことが伺えます。
浜坂のズワイガニ漁獲実績について ●兵庫県における漁獲実績 兵庫県でのズワイガニの漁獲は、日本海側の津居山・竹野浜・柴山・香住・浜坂の5ヶ所です。 過去3年のズワイガニ漁獲状況は次の通り。(単位=トン) 兵庫県機船底曳網漁業協会資料より
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津居山
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竹野浜
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柴山
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香住
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浜坂
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H14年
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362
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3
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312
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98
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578
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H15年
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338
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1
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384
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157
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675
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H16年
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400
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廃業
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384
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207
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683
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浜坂は最近3年間、常に全漁獲量の4割以上を占め、安定的な漁獲実績ですが、その背景には優れた船の装備・操業方法があること抜きには考えられません。 浜坂町漁協所属のカニ操業船は、現在18隻。総トン数では、80〜99t=10隻、50〜80t=4隻、50t以下=4隻であり内8隻は最近10年以内進水の新鋭船です。 全船とも最新機器を装備していると共に、平成16年度より大型船では、2,000リットル10個、1,000リットル10個の活カニ用大型水槽を装備し専用の冷却機で、カニの生息する1〜3度の水温管理を実施しています。 これだけの最新鋭機器を装備しているカニ操業船は他に類を見ないでしょう。
また、浜坂では大型船が多いので、日本海の冬の荒れでも漁ができ、数日間の効率的な操業が期待できる強みもあり、獲れた活カニを管理水槽の中で泥を吐かせ、カニを活かしながら帰港し、水揚げをしています。 加えて浜坂の漁師は海底棚(瀬)の多い魚場でも網を曳く高度な伝統技術を持っています。また、若い漁師が育っているので最新技術も使いこなし、漁がしやすいといわれています。
ズワイガニの質について ●浜坂カニ操業船の漁場環境 かってより山陰海岸沖のカニは美味しいと定評があります。特に中国地方最高峰 大山の火山灰が堆積した漁場のカニは良質です。
大きな理由として以下の6つがあげられます。
1)カニの餌(クモヒトデ等)が豊富で棚が多い。 2)灰の堆積土なのでカニに傷がつきにくく甲羅がヤケにくい。 3)栄養のある土で味が良くなる。 4)甲羅にカニビルの卵が付いたものが多い。(カニが硬く身の詰まりが良い) 5)腹部が白又は青白いものが多く外観がきれい。 6)沈船が多くカニが住みやすい環境がある。 注)日本海の北へ行くほど海底に小石が多く、カニに傷が付き易く色もヤケも多く、腹部も黄色くなる、との定説があるようです。
浜坂船の操業海域は、島根県隠岐島周辺から浜坂(居組)沖です。上記の好環境に加え、かっては「居組沖のカニが一番」と言われた居組沖を含む浜坂沖を主漁場にしており「浜坂のカニは質が良い」と自他共に認められています。
●活カニの捕獲と販売・提供への工夫 前記の恵まれた環境の漁場で漁獲しても、何といっても活きのよさが不可欠です。浜坂では平成16年より全船が、カニの生息する水温に適した大型水槽を装備し、活かしたまま陸揚げされ、かつセリも活カニの水槽売りをするので、活きたまま店頭や消費者に届く最高の品質が提供できる体制が整っています。 なお水槽売りでは活きの良さは当然だが、カニが寒風に触れて指落ちすることも防げるので商品価値低下の予防にもなっています。
●カニのブランド化への工夫 従来より浜坂では、カニのブランド化を目指し、カニにタグを付けることを率先垂範して実施しています。 現在、推奨する等級のカニには、片面に「はまさか」、他面には水揚げした船名を「●●丸」と刻印した青いタグを一匹づつ付けています。 今後は更に改良を加えて、特上のカニにはゴールドのタグ等、他のカニと区別して消費者にも判りやすくしたり、水揚げ港を偽装されないようバーコードの導入などを検討しています。
松葉ガニQ&A
Q,「松葉ガニ」と「越前ガニ」の違いは? A,両方とも同じズワイガニで同種類のカニです。水揚げされる漁港によって、北陸地方は「越前ガニ」、山陰地方は「松葉ガニ」と呼んでいます。 また、「松葉ガニ」の名前の由来は、諸説ありますが、浜坂では、カニの身が松葉のようにみえるからといわれています。
Q,浜坂の松葉ガニの漁場はどこ? A,島根県の隠岐島から浜坂(居組)沖までの山陰海岸沖10〜14kmで水深320〜500mの好漁場で獲っています。
Q,松葉ガニの旬って? A,漁の解禁期間は毎年11月上旬〜翌年3月下旬で、その期間が「旬」となります。 但し、メスガニは資源保護のため、11月上旬から翌年1月上旬のわずか約2ヶ月間しか獲ることができません。
Q,松葉ガニはどうやって成長するの? A,若いうちは年に1〜2回脱皮を繰り返しながら成長します。脱皮直後は体力が消耗しているため、身がやせており、そのカニのことを「水ガニ」といいます。(若松葉ガニ・ソフト松葉ガニともいう)その後、何度も脱皮を繰り返しながら、だんだん成長し、セリにかけられ食卓に上がるまでには最低7〜8年かかり、立派な大きさになるには12年以上必要と言われています。(寿命は15年といわれている) ※面白いのは、損傷した脚も脱皮のときに再生することです。
Q,「松葉ガニ」のオスとメスはどう違うの? A,オスは体も大きく、爪も立派で風格があり、大きなものは甲羅が18cmもありますが、メスガニはオスに比べて小ぶりで甲羅の大きさもせいぜい7cmです。 メスガニの呼称は北陸では「コッペガニ」、京都は「ハコガニ」、鳥取は「親ガニ」、浜坂は「セコガニ」又は「子持ちガニ」と呼んでいます。 忘れてならないのはメスの腹側にある卵「外子」と甲羅の中にある卵巣「内子」は珍味でまさに絶品です。
Q,美味しい生の「松葉ガニ」の選び方って? A,(1)重量感のあるもの (2)甲羅や脚の硬いもの (3)腹部が青白いもの(オスガニ)
Q,浜坂の松葉ガニはどうして美味しいの? A,漁場が鳥取県にある西日本の富士といわれる大山の噴火によってできた火山灰が堆積している所を漁場としているため、カニの餌(クモヒトデなど)の海底生物が豊富で、栄養のある土なので、味が良くなると言われ海底が灰の堆積土でカニに傷が付きにくく、甲羅がヤケにくい、また、漁師がカニを非常に大切に取り扱い獲ったカニを船の水槽で生かして帰港し、セリも水槽売りしていて鮮度が抜群だからです。
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